人・自然・宇宙が一体となって地上に現れた星の瞬き『曜変天目茶碗』

YohenTenmoku

テクノロジーが発達した現代では緻密な計算に基づいて人間を宇宙に送り込むことも可能になりました。
その一方で自然の手に委ねて初めて完成するものもまだまだたくさんあり、その一つが私の好きなやきものです。

今でこそ型枠から成形し、絵付けもプリントされるようになり大量生産が可能になりましたが、やきものの世界で至高の傑作と評される、『曜変天目茶碗』は現代の技術をもってしても、完全な再現は困難といわれています。

やきものの多くは還元炎焼成という働きを利用して窯で焼いて作られています。
還元炎焼成では、燃料で使う窯で燃料を多めに、空気を少なめにして、少し不完全燃焼させることで、釉薬と土が溶け合った部分が多くなりやきものに深い色合いを与えます。

ただし、どんな風に焼き上がるかは陶芸家自身も窯を開けるまでは想像もつかず、それこそ『曜変天目茶碗』の出来上がりの瞬間を見た人はその想像もつかないうつわの景色の美しさに目を奪われたはずです。

曜変天目茶碗
国宝 曜変天目(「稲葉天目」)©SEIKADO BUNKO ART MUSEUM.

『曜変天目茶碗』の『曜変』とは元々は『窯変』といい、焼き物を焼く際の予期せぬ色の変化を表す言葉ですが、器の内側に現れる瑠璃色の光彩をまとった星のような紋様の美しさから、『星の瞬き』、『輝き』を意味する『曜(耀)』の字が当てられるようになりました。

『曜変天目茶碗』のひとつは、東京・世田谷にある静嘉堂文庫美術館に所蔵されており、特別展などに出品されます。
人・自然・宇宙が一体となって地上に現れた星の瞬きをぜひ皆さんもご自分の目でご覧になってはいかがでしょうか?

田中 令以知

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