新型コロナワクチンの接種も少しずつ進み、昨年のマスク不足が嘘のように、ドラッグストアでは普通にマスクが買えるようになってきました。ひるがえって、宇宙でもマスクをつけることってあるのでしょうか。今回は、国際宇宙ステーションでのマスク事情について紹介したいと思います。
国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士が日常的に感染予防を目的としたマスクをつけている姿はあまり見られません。これは搭乗前に2週間ほどの隔離期間を設け、ISSに微生物を持ち込まないようにしているためです。2020年11月にスペースX社の新型宇宙船「クルードラゴン」でISSに向かった野口聡一宇宙飛行士は、コロナ禍のため、打ち上げ前にこれまでよりも長い約3週間の隔離生活を送りました。
それでは一体どんな時にISSではマスクをつけるのでしょうか?
答えは、船内のトイレの掃除やメンテナンスの時、補給船が到着した時などです。
写真でもゴーグルにマスクを装着している宇宙飛行士の姿が見られますね。
トイレの掃除や修理の際には、主に悪臭対策としてマスクをつけています。米国労働安全衛生研究所(NIOSH)認可のN95マスクで、呼吸しやすいように排気弁がついています。
補給船に最初に入室するときは、打ち上げ時についた細かな粒子や気道を刺激するものがないか確認するために、マスクをつけています。
逆に、ISSから地球へ帰る前に、マスクをつける練習をした宇宙飛行士もいます。Cassidy宇宙飛行士は2020年10月に無事地球に帰還しました。
Masked up on @Space_Station! Training myself for my new reality when I get home on Wednesday. pic.twitter.com/vOyFe9UBj1
— Chris Cassidy (@Astro_SEAL) October 19, 2020
ISSでのマスク装着は特別なシーンであることが写真からも伝わってきますね。
地上でも希望する人へのワクチン接種が1日も早く進み、少しずつ日常を取り戻すことができることを祈っています。
大西 紀子