みちびきが生み出す「新しい何か」

みちびき

出典:qzss.go.jp

今回は、私が事務局を担当している「準天頂衛星みちびきを利用した実証事業」について、ご紹介します。

まずは「みちびき」について
準天頂衛星みちびきは、天頂に近い「準天頂」軌道を通る衛星を中心に構成される日本の衛星測位システムで、アメリカのGPS衛星と連携して、正確な位置情報を届けてくれます。私たちの生活に身近なカーナビやスマートフォンの地図アプリなどにも使われています。

みちびきの初号機は、今から10年以上前の2010年にJAXA種子島宇宙センターから打ち上げられました。4年前には2・3・4号機が打ち上げられ、2018年11月から計4機での測位サービスが始まりました。今月下旬(10月25日予定)には、まもなく寿命を迎える初号機の後継機が、初号機と同じJAXA種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられます。

みちびき初号機後継機の打ち上げ告知ポスター

みちびき初号機後継機の打ち上げ告知ポスター (みちびき初号機後継機 打ち上げ特設サイト

再来年には3機の衛星が追加され、以後は7機体制で運用されます。精度の高い測位信号を受信できる環境が徐々に整いつつあります。

みちびきを使って、新たな事業を始めよう!
みちびきが提供する高精度の位置情報を使って、農業、自動車、物流、船舶、建設、防災など幅広い分野での利用が進んでいます。農業機械をロボット化して肥料や農薬の自動散布や、測位情報を活用したクルマの自動運転や荷物を積んだドローンの自動運航など、さまざまな利用の可能性が広がっています。

「みちびきを利用した実証事業」は、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社が主催し、みちびきの新たな活用とビジネスの創造を目指す企業や団体、大学などの取り組みを後押しするべく、毎年公募により事業者の選定が行われています。みちびきのサービスが開始された2018年に始まり、今年で計4回の募集が行われ、すでに30以上の事業者が国内・海外で実証事業を行っています。

日本宇宙フォーラムは、本実証事業の事務局を担当しています。私は本業務の担当として、この3年間で多くの実証事業が行われるのを間近で見てきました。みちびきという衛星測位システムを使って、世の中に新しい何かが生まれてくるのを目の当たりにし、私たちの暮らしの中でもみちびきが身近な存在になってきていることを実感しています。

準天頂衛星みちびきのウェブサイトには、これまでに行われた実証事業の様子を収めた動画や資料が掲載されていますので、ぜひご覧になってください。

・みちびきを利用した実証事業(内閣府・みちびきウェブサイト)

中浦 陽子

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