宇宙イベントの舞台裏

宇宙イベントの舞台裏

嬉しいことですが、宇宙の広報・普及イベントの企画・運営の仕事は傍から見ると楽しそうな仕事だと思われているようです。実際には、イベントは最後の一瞬で仕事のほとんどはその準備にあたります。

JSF広報普及事業部にはイベントのロジや進行を得意とする人、受付の切り盛りや機材の操作が得意な人などがいます。私は人と違うことをやりたいと思い、イベントの内容を考える企画に力を入れて取り組んでいます。
幸運なことに、私の場合、企画のノウハウの多くを「スペースカフェ☆お茶の水」の活動を通して学ぶことができました。隔月でサイエンスカフェや観望会などを開催していた当時は千本ノックのように感じましたが、それが私の血となり肉となったようです。今では心から感謝しています。

イベントの準備は企画を立てることから始まります。まず、どのようなイベントにするかコンセプトとプログラムを考え、次に、コンセプトを基に講師をどなたにお願いするか決めます。とは言え、気心の知れた(私の意図を汲んでくださる)方を頼りにすることが多いことも事実です。
企画が決まれば、台本やマニュアルを作成します。その後、現場の仕事が待ち構えています。現場では、会場や機材の設営・撤去、舞台のレイアウト変更など力仕事もあります。特に力仕事が半人前の私ですが、ありがたいことにまわりの人が快く力を貸してくれます。その度、多くの人の協力でイベントが成り立っていることを痛感します。私が担当する現場では、せめて美味しいお弁当(できる範囲となりますが)をお出しするように心掛けています。講師の先生、スタッフなどイベントに関わる全ての人への感謝の気持ちを込めて。

2020年春、イベントを取り巻く環境がCOVID-19の影響により一変しました。
大勢の人が集まるイベントは感染拡大防止のため、中止せざるを得ない状況となりました。恒例の夏休みの子ども向けの宇宙イベントやフィールドワーク、ワークショップなども全て中止になりました。しかし、こんな時だからこそ、おうちで安心して子ども達に宇宙を楽しんでもらいたいという想いから、手探り状態でオンラインイベントを企画しました。

8月19日夜、YouTubeで配信した国分寺市主催「子ども宇宙教室」はオンラインイベントとは思えない内容の濃いイベントとなりました。主催の国分寺市をはじめ、全力で臨んでくださった講師の阪本成一先生、吉川真先生、和田豊先生に心よりお礼申し上げます。
今回、質問コーナーで質問する子ども達が決定したのがイベント直前でした。回答を準備する時間がほとんどなく、しかも、子ども達にわかりやすく説明するのは大変なはずです。
ー質問コーナーが始まり、私はドキドキ…
ー先生方は笑顔で余裕の回答。
さらに、先生ご自身で追加の質問を用意され、3人で楽しそうに回答。一筋縄では行かない宇宙の先生方は俊逸です。

子ども宇宙教室は、YouTube国分寺市役所チャンネルでご覧いただけます。

大勢の人が集まるイベントと比べてオンラインイベントに若干物足りなさを感じるかもしれませんが、地球の裏側にいる人と繋がることができるメリットもあります。なにより、COVID-19を気にすることなく、おうちで安心して宇宙のイベントを楽しむことができます。
社会のニーズに柔軟に対応しながら、今後も楽しい宇宙のイベントをお届けしていきたいと思います。
どうぞお楽しみに!

京田 綾子

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