宇宙ステーション補給機『こうのとり』のここがスゴイ!

HTV9号機

5月21日(木)に打ち上げられた9号機のミッション完了をもって有終の美を飾る、日本が誇る宇宙ステーション補給機『こうのとり』。

過去8回の補給ミッションの成功率はなんと100%を誇り、国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加する各国からの信頼も厚い『こうのとり』。

いったいどんなところが優れているのでしょうか?思わず誰かに自慢したくなるポイントに絞ってご紹介します。

【その1】世界最大級の補給能力

ISSに物資を運ぶ宇宙船には、現在次の4つが使われてきました。
・こうのとり(日)
・シグナス(米・オービタルATK社)
・ドラゴン(米・スペースX社)
・プログレスM(露)

『こうのとり』は一度に約6トンと世界最大級の物資補給能力を持っています。

また、船外活動プラットフォームで使用するモジュールなど大型の機材も積むことができるのも『こうのとり』だけの特徴です。

6号機から9号機ではISSの運用に欠かせないリチウムイオンバッテリー(これも日本製)を運び、交換を行ってきました。

ISSはオール電化なのでバッテリーの定期的な交換が欠かせません。
日本製のバッテリーに交換したことで効率が良くなり、これまでの半分の数で運用できるようになりました。

ISS補給機の比較
提供:JAXA

※詳しい比較は【こうのとり9号機プレスキット】付録1-18をご覧ください。

【その2】ロボットアームを使ったドッキング方式

『こうのとり』は世界で初めてロボットアームを使ったドッキング方式を採用しました。これまでの補給機は、ISSのエアロックに直接接近してドッキングしていましたが、『こうのとり』はISSの近くまで接近すると、同じ速度を保って相対的に停止した状態になります。
その後、ロボットアームで掴んでエアロックにドッキングするという方式を採用されました。

この方式は当初NASAから猛反対を受けましたが、ミッション成功を積み重ねることで信頼を得て、このドッキング方式とそれに必要な機材は、米国のシグナスやドラゴン宇宙船に採用されるまでになりました。

※ドッキング方式の開発を巡る日米の熱い攻防はこちらの映像をみるとよくわかります。

いかがでしたでしょうか?『こうのとり』が世界に誇る宇宙船であることがお分かりいただけのではないでしょうか?

来年からは『こうのとり』の性能を向上させてHTV-Xが引き続き補給の任務を担うことになります。
月探査ゲートウェイの運用にも使われるという、HTV-X。さらなる活躍に期待です!

田中 令以知

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